麗らかな休日の午後。
ソファーで二人は並びで座り、寛いでいた。

不意にスザクがルルーシュを覗き込み、尋ねる。

「ねぇ、ルルーシュ。触っても良い?」

スザクがルルーシュの耳元でそっと囁いた。

甘い低音。

優しい耳障り。

視界がとろけて見えなくなりそうになるが、ルルーシュは我慢してスザクを突っぱねる。

「駄目。そのままその…あの……アレに持ち込むんだろ?」

紅くなりながらモジモジし、正面に居るスザクから目をそらす。

蒸気した頬と上目使いが何とも言えず、可愛らしい。

「アレってなぁに?僕、鈍感だから分からないな」

ルルーシュがよくスザクに叫ぶ言葉、『空気読め―――!!!!』を逆手に取り、スザクはわざと甘える様にそう聞き返した。

ルルーシュは俗に言う淫語が恥ずかしくて言えない。

「ほら、言って?」

「………………………」

無言を決め込み、どうしようかとさ迷うルルーシュの目。

普段の天然無自覚女王様っぷりは何処へやらと言った様子だ。

「…言わなきゃ駄目なのか?」

ルルーシュはスザクがコクンと首を縦に振った事で、泣きたくなった。

「何でそんなに恥ずかしがるのかな?まぁ恥ずかしがるルルーシュが見たくてつい意地悪してるんだけどね」

それを聞いてルルーシュの表情が一変する。

口はヘの字に曲がり、頬は膨らみ、目だってスザクを睨んでいる。

明らかに不機嫌な上に怒っている顔だ。

「あれ?どうかしたの?」

「お前はそんな風に思っていたのか…?」

声のトーンも下がり、魔王が降臨したか如くな背景でも背負ってそうだ。

「る、ルルーシュ?」

ぷいっとツンツンした愛想の無い雰囲気でルルーシュは別の場所に行こうと立ち上がった。

だが、思いっ切りスザクに腕を引っ張られ、バランスを崩して転倒しそうになる。

しかし、ルルーシュは床に倒れる事無く、ぽふっと軽めの音がし、ルルーシュはスザクの腕の中にすっぽりと納まってしまった。

「ごめん、怒った?」

スザクが話掛けてもルルーシュはそっぽを向いて無視。

仕方が無いのでスザクはルルーシュに無理矢理ではあるが優しく唇にキスをする。

「んなっ…!?」

ルルーシュは『何をする!?』と叫びたかったが、そんな言葉でさえも塞がれた唇からは紡ぎ出されない。

少し長めのキスが終わり、スザクからは真摯な視線がルルーシュに送られる。

「本当にごめんね。ルルーシュがあんまりにも可愛かったからつい意地悪したくなっちゃったんだ。」

真剣に謝ってくれるスザクに、ルルーシュは今まで損ねていた機嫌も直り、破顔する。

スザクに天使の微笑と言われるルルーシュの笑みは、スザクの喩えの如くとても綺麗だ。

「もうあまり意地悪は止めてほしいな」

「なるべくね」

「なるべくって何!?」

そんなやりとりでも二人は笑っていて、じゃれている事が伝わってくる。

じゃれ合いながら、どう過ごすかは二人だけの秘密。

そう、そんな、麗らかな休日の午後の過ごし方。

何も無い日常が、1番幸せ…

=END=


**あとがき**
『ショコラ★あんみつ』さまの所の黒うさルルさんに瑠依が惚れ込みまして、書かせていただいたものです。
よって、『ショコラ★あんみつ』の森田さまに捧げました。
森田さまのみフリーです。
07.10.21
ちなみに本家様はのサイトは此方です→